会長挨拶
会長 齋藤 貴徳
(関西医科大学整形外科学講座主任教授)
この度、伝統ある日本低侵襲脊椎外科学会学術集会の大会長を拝命いたました関西医科大学の齋藤貴徳です。本学会を大阪の地で開催できることを大変光栄に存じます。
本学会は内視鏡の専門学会として1999年に誕生しました。初めて登場した脊椎手術の小侵襲化技術に多くの脊椎外科医がチャレンジしました。その結果、椎間板ヘルニアのみならず、狭窄症にもその利用が広がり、続いてPEDが登場し、さらに低侵襲な内視鏡手術が普及しました。その後、低侵襲脊椎外科はPPSの登場により除圧のみでなく固定術でも急速な普及が始まりました。小侵襲固定術は内視鏡の普及とは奇しくも別の道を歩んできました。これを議論するMISt研究会が12年前に発足し、若い脊椎外科医を中心として会員が増加し、地方会の発足や、コメディカルの参加などを特徴として発展してきました。しかし、両者には脊椎手術の小侵襲化という共通の目的があり、その達成のために日夜努力が費やされ、その市場も年々拡大してきました。元々この両者は共通の夢、すなわち、高齢者にもアスリートにも体に優しく早期の社会復帰を目指すという目的のために集まった人達であり、同じ夢を持った人たちであったと思います。このため約10年前からJESMISSにはMISt研究会の固定系の脊椎外科医も学会に参加するようになり、JASMISSとしてさらに大きくなっていった経緯があります。一方でMISt研究会は、その後、内視鏡手術や保存療法も含めた学術集会の場として発展しMIST学会と名称が変更されました。しかし、これらのMIST学会の会員の多くは内視鏡から低侵襲手術に入った人たちが大半であり、最近では小侵襲固定術からこの世界に入った若い世代の脊椎外科医もUBSなどの内視鏡を用いた新たな小侵襲技術に注目しており、今後はこの両者は区別して議論するのが難しい時代が直ぐそこまで来ていると感じております。これらのことを勘案するとJASMISSとMIST学会は参加者も共通の脊椎外科医が多く、各学会内での議論も共通の内容のものが多くを占めており、今後両学会が共に歩んでゆき、小侵襲脊椎外科という共通の夢を持った人たちが集まる学術集会としてさらに大きな学会へと発展する時期が来たと考えております。そこで今大会のポスターは学会場となる大阪公会堂を起点として内視鏡とPPSによる固定術が一つの道を未来に向かって歩んでゆく姿を表現したものとさせていただきました。
大阪公会堂は重要文化財として大阪府がその保存に注力している建築物であり、学術集会としての使い勝手は他のコンベンションセンターやホテルには劣るものの、その美しい外観や内観は伝統ある本学会を開催するに相応しい場所として選ばせていただきました。ぜひ、この素晴らしく美しい建築物のなかで熱いディスカッションを繰り広げていただき、JASMISSの新しい未来へと一層の発展を期するいしずえになる記念すべき学会となることを願ってやみません。
折しも大阪は一年の中でも最もすがすがしい観光のベストシーズンに当たっております。中之島の中心に位置する大阪公会堂は船を使っての観光巡りの拠点としても便利な場所であり、観光船で道頓堀や造幣局なども川から眺めるとまた違った景色を楽しむことが出来ます。多くの会員の皆様が本学会にお集まりいただき活発な議論が行われ、今後一層MIStと内視鏡が共通の夢に向かって手と手を携えて発展することを心より願っております。本学会は来年から始まるSWJを前にして単独開催のJASMISSとして最後の学会となります。このため本学会は、小侵襲脊椎外科を目指す全国の脊椎外科の先生方に大阪にお集まりいただき、未来に向かって力を合わせて発展して行く、そのスタートになる記念すべき学会となることを祈念しております。水の都大阪で皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。よろしくお願い申し上げます。